ピラミッド

弱肉強食のピラミッドを図鑑で見た。底辺から分解者、草食、肉食動物と続きその頂点には猛禽類が君臨し、横にちっちゃく人間の赤ん坊の絵が描かれている。堂々とおっさんが頂点でふんぞりかえった絵でよさそうだが一体何に気を使っているのだろうか。ところでその偉大なる人間様を蝕む癌はやはりブドウ糖を消費しまくり増大するのであるから生態系に仲間入りさせ一旦人間の上に置いてみよう。然るにその癌を切除する外科医はさらにその上となる。やった!ピラミッドの頂点だ!てっぺんとったぞ! 歓喜もつかのまに医療ロボットが登場。名前もda Vinciとハイカラである。保険適用となる手術は今のところ泌尿器科領域位だが徐々に拡大しつつある。しかしロボットを操れるのは限られたスーパードクターだけだ。すると必然的にあぶれる医者がでてくる。ただでさえなり手が減りつつある外科医にこれは微妙な存在だ。早晩きっとこんなことが起こる。当直で疲れきった外科医「何がダビンチ、いやヴィンチだ、あん、すかしやがって。どだい電源がねえとなんにもできねえ鉄くずだろうが、ばーろー、こーしてくれる、えいっ」(デンブチ)。隣のレントゲン室ではこんなことも。所見だらけのCTの読影で発狂寸前の放射線科医「過去の画像とうまいこと比較しておしゃれなコメント出しやがってえ。専門医の所見にけちつけてんじゃねえよ、だーほ。AIだか何だか知らねえが、あん、せいぜいAI将棋くらいにしとけぼけえ、ま、藤井四段の方が上だろうけどな、ふん」(デンブチ)。当分ピラミッドの頂点は人間である。
(実際に頂点に立つのは危険ですので絶対にマネしないでください)

2018年01月17日